第11回うどん県書道パフォーマンス大会 ~入賞校紹介~

8月19日(日)にサンポート高松において、第11回うどん県書道パフォーマンス大会が行われました。

 

前回の第10回大会は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により無観客開催となりましたが、今回の大会は有観客で実施され、会場には学校関係者をはじめ、出場生徒のご家族の方々や一般の方も多く観覧されていました。

 

ここでは、大会に出場した22校の作品のうち、見事入賞された7校の作品を、代表生徒のコメントや県教育委員会の二宮先生による作品解説を交えてご紹介します。(香川中央高校は出場辞退)

 

【優勝】高松商業高校(3年ぶり8回目)

代表生徒:『この作品は、周りの人との違いを恐れている方々が、自分自身を認めることで一歩を踏み出してほしいという思いを込めて作りました。趙之謙の書風を大文字に取り入れたり、虹色を使うことで自分たちの個性を表現しました。そのようなものを使うことで、より私たちのが伝えたい思いを表現できたと思います。』

二宮先生:『この夏ずっと練習してきたのだろう。野球で男子が頑張ったが、書道の女子も負けていないという感じがした。それぞれの個性を認め合おう、自分の個性を出していこうというのが動きからも作品からも出てきている。黒い衣装のまま歩いて会場に来た、それほど皆で団結して作品に向かってくれたのではないかと思う。虹色を描くアイテムも工夫して作ったということで会心の作品になった。』

 

【準優勝】観音寺第一高校

代表生徒:『この作品のテーマは「跳ぶ」です。私たちのモットー「楽しい」「明るい」「笑顔」に合った2曲目のぼよよん行進曲では、テーマに沿った高く跳び上がる演技をしました。工夫点は余白を活かした作品にしたことや、皆のテーマを衣装の背中に書き込んだことです。また、「跳」を書くときに使った筆は私たちで作り上げました。私たちのパフォーマンスを観てくださった方々に勇気を与える、そんな作品になるよう私たちも楽しんでパフォーマンスをしました。先生方、先輩、友達の支えのお陰で今日のパフォーマンスを全力で楽しむことができました。』

二宮先生:『笑顔も良かったし、動きも凄かった。3人のだんご3姉妹の特徴を衣装の背中に書いて、「笑」の文字はその場で実際に書いている。最初のところでボールを凧紐でぐるぐる巻き、48個作ったものに色をつけて転がすことで背景を作り出した。大きな筆もビニール紐を自分たちで解いてパイプに差し込んでオリジナルの筆にしている。人数が少ないので誰かが休んだ時は顧問の先生が練習に入ったりしたこともあった。去年先輩たちが出場できなかったその思いを汲んで、自分たちがその分思い切りパフォーマンスをした。』

 

【第3位】高松西高校

代表生徒:『この作品は、見てくださる皆さんを笑顔にしたいという思いを込めて書きました。装飾は紺一色で濃淡をつけて立体的に見えるように意識しました。また、大文字は隷書風で、小文字と大文字の書風を変えることで変化をつけました。皆さんの心に灯りをともせていたら嬉しいです。』

二宮先生:『7月下旬に行われた書道パフォーマンス甲子園では、先輩たちが見事な演技を披露してくれていた。その後、3年生のパワーを受けて今年は2年生5人で今大会に挑戦するということで、バージョンアップした作品にした。下側には故郷自慢の善通寺の五重塔や金刀比羅宮、右端にはサンポートタワーをあしらい、ふんだんに讃岐を盛り込んでいる。そこに私たちが灯りをともそうという作品になっている。シンプルで、書道は白と黒と赤、そして淡い色の装飾、身体表現で勝負してきた。途中でストップモーションを入れ、書いている人を目立たせるようにする演出もなるほどと思った。』

 

【毎日書道学会作品賞】高松桜井高校

代表生徒:『この作品は、「多様性」という大きなテーマのもと、作り上げました。「英雄」という文字には一人ひとりが英雄という意味が込められており、性別、人種などに捉われることなく自分らしく生きていこうという思いを込めて書きました。また、装飾では英雄に因んで力強いイメージを持たせる炎をモチーフとしました。』

二宮先生:『装飾に用いたアイテムは、刷毛を12本合わせ、それが2セットあり、「twenty four」という愛称をつけ自前で作っている。まるで自分たちの宝物のように使っている。これが創造活動にとって大事なことだ。学校では日陰ではなく燦々と太陽が降り注ぐ屋外で練習しており、風で紙が破れて大変だったとのこと。演技の中の手の表情があったが、自分たちで考えたり、学校にいる様々なスペシャリストの先生方から意見をもらったりして作り上げた。バラバラだった皆の手が一つになるという演出などでメッセージ性を持たせた。筆使いも丁寧で、礼儀正しくしている姿が印象的だった。』

 

【審査員特別賞】高松東高校

代表生徒:『今回のテーマは「導(みちびく)」です。今の時代、どんなに苦しいことがあっても、私たちのパフォーマンスを観てくださっている皆さんを明るい未来に導けるように、また前回果たせなかった優勝を勝ち取りたいという思いでさせていただきました。そして今日、この場所で一緒にできなかった仲間の思いを胸に、全力を尽くしました。』

二宮先生:『自然の中でやるのでハプニングは付き物だが、生徒たちは臨機応変にやるのでそこもパフォーマンスの見どころだろう。今回は昨年準優勝だったので、優勝を目指して一生懸命取り組んでくれた作品だ。各所にアイテムがあり、最初に引いた黄色の線は掃除用の道具を使い、スプレーが登場したり、髪飾りを手に着けたり、最後に布でV字を作りその上で紙面が汚れないように表現をしたりしていた。大字「導」はボリュームが必要なので2本の筆を巧みに操り1本の筆で書いたかのように書かれている。下側の英語も難しいと思うが相当練習されている。大好きな先輩たちがたくさん指導してくれたこともありがたかったとのこと。』

【奨励賞】高松南高校

代表生徒:『今回、私たちは「和の心」をテーマにこの作品を作りました。古より時を越えて受け継がれてきた日本の伝統や文化は麗らかで儚いものであり、私たちが伝えていかなければならないという気持ちを表現しました。さらに、香川県立ミュージアムに保管されている国宝の一つ、「詩懐紙」の臨書にも挑戦し、その美しさや良さを皆さんに知ってもらいたいと思いました。絵柄に和の要素を取り入れたところにも注目してほしいです。』

二宮先生:『コロナの中でどんなに上手く時間を使って練習したのかと思うくらい揃った息で、工夫したり努力したりしている印象だった。右側に貼り付けたものは、平安時代の書道の名手 藤原佐理が26歳で書いたもので、水辺の桜の花の様子が美しいと愛でて書いた歌になっている。和の心がテーマということでこの作品を取り入れ、左側には雲霞や月の光で和を表現している。若い人たちが和の心を大事にして、将来も持ち続けていこうという意気込みが感じられる作品になっている。』

 

【奨励賞】高松北高校

代表生徒:『今回、私たちは「天下無双」というテーマでパフォーマンスをしました。不安定な世の中で焦ってばかりでは駄目だと思い、今出来ることを全力でやってやるという気持ちで、また今回このパフォーマンスを完成させるにあたって、顧問の先生や先輩方にたくさんのご指導をいただきました。そのお世話になった先輩方や先生方への感謝の気持ちを伝えられるように今日は書くことができたと思います。このパフォーマンスを通して、私たちの勢いやパワーを届けられればと思います。』

二宮先生:『学校で新聞を繋いで繋いで、学校中の新聞を集めすぎてなくなるほど練習していた。文字の書き方は楷書で、完成される前の造像記という書き方になっている。造像記とは、亡くなった方の冥福を祈り仏像を造り、その横に記した文字の書きぶりで、今回はそれを使っている。力強い形で今回のテーマに合わせて書いている。』

 

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